歯学部入試における地域枠について
大学入試においては、地域枠を設定している大学があります。金銭的負担を軽減しながら、より合格しやすい立場になりたいと考えた際に、地域枠は便利に活用できるものです。歯学部入試にも、地域枠は設定されているのでしょうか? そこで大学入試における地域枠の導入状況や歯学部入試における地域枠の導入状況についてご紹介します。
大学入試における地域枠とは?
地域枠の目的
地域枠の目的は、地域の活性化です。地元出身者の学生であることや卒業後に制限された地域で働くことが、出願条件として定められます。つまり卒業後に、大学がある地域への貢献が求められます。
導入状況
地域枠は、主に国公立大学の医学部や教員養成を行う学部などに導入されています。以下の記事によると、2024年度には全国86国立大学中48大学に地域枠が導入されました(※1)。
※1参照元:読売新聞オンライン(https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20231125-OYT1T50228/)
受験者から見たメリット
- 経済的な負担が軽減される
- 大学に合格しやすくなる
- 編入しやすくなる
- 就職難易度が低くなる
地域枠の大きなメリットといえば、まず経済的な負担が軽減されることです。一般的に医学部を設置している大学の学費は高く、学費の問題で入学を迷うことがあるかもしれません。しかし地域枠では学費の減免が受けられたり、奨学金が受けられたりすることが多くなります。
また地域によっては地域枠で定員割れが起きているケースもあり、入学しやすい傾向があることもメリットのひとつです。編入希望の場合にも適用されることがあるでしょう。ある程度卒業後の進路が確保されているため、就職もしやすくなります。
受験者から見たデメリット
- 奨学金を利用したら返済しなければならない
- 就職先が限定される
- 将来への拘束力が強い
地域枠によって金銭的負担が軽減されますが、奨学金を利用した場合には返済義務が生じます。また地域枠を離脱すると、一括返済の義務が生じることは大きなデメリットです。
その他、就職や将来が制限されることもデメリットです。病院への従事要件を満たさなければならず、さらに就職先の診療科が制限されることもあります。研修医期間も含めた卒業後の数年間は、医師として勤務することが求められ、他の道を選べなくなります。
歯学部入試における地域枠の導入状況
国公立大学
国公立大学では地域枠の導入が進んでおり、中には定員数の半分近くが地域枠である大学もあります。しかしそれは医学部・医学科のことであり、歯学部・歯学科は対象ではありません(※2)。
むしろ歯学部振替枠が廃止され、その枠組の定員は医学部地域枠臨時定員としての活用が推奨されています。そのため歯学部入試における地域枠は存在せず、通常の入試であっても入学しにくい状況となったのが現実。地域の医師を確保し、診療科の偏りをなくすために提案された考え方だそうです(※3)。
※2参照元:【PDF】文部科学省「令和5年度大学医学部における地域枠等の導入状況」(2ページ)(https://www.mext.go.jp/content/20240125-mxt_igaku-100001063_1.pdf)
※3参照元:【PDF】厚生労働省「令和5年度医学部定員と歯学部振替枠について」 (https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000822125.pdf)
私立大学
私立大学における地域枠の導入は、国公立よりは進んでいません。導入されていないのは国際医療福祉大学、慶應義塾大学、東京女子医科大学、産業医科大学の4校のみですが、導入している大学においても決して枠は広くないと言えます(※4)。
そして歯学部・歯学科の地域枠導入は国公立大学と同じくやはりありません。地域枠導入が進んでいない私立大学において、国公立大学でも取り入れられていない「歯学部・歯学科地域枠」が導入されることは、将来的にも期待が薄いのではないでしょうか。
※4参照元:【PDF】文部科学省「令和5年度大学医学部における地域枠等の導入状況」(2ページ)(https://www.mext.go.jp/content/20240125-mxt_igaku-100001063_1.pdf)
地域枠以外にも歯学部入試の基本情報をチェックしよう
歯学部を設置している大学の中には地域枠を利用できることもあり、金銭的な負担を軽減しながら、より歯学部への入学が容易になるかもしれません。私立大学よりも国公立大学での導入が進んでいるため、利用するなら国公立大学を目標にしましょう。
しかし歯学部に入学するには、そのほかにも知っておきたいことが多くあります。当サイトでは歯学部入試のためのポイントと注意点について解説していますので、ぜひ以下のページを参考にしながら入試への策を練ってください。